前世のあなた

前世のあなたは義理と人情に生きた人だったでしょう。
圧政に対抗して反乱を起こした軍の頭領。裏街道で弱者を救い、まとめて率いた任侠の親分。等々、義理人情に厚く集団を率いて戦った人であった可能性が高いです。
どのような時代、世界に生きたにせよ表ではなく裏街道の人だったろうと思います。強者ではなく、弱者の側に立った人。地位や名誉など当然に戴きませんでした。“弱きをたすけ、強気をくじく”。東洋的な正義の味方を絵に描いたような、よく中国の講談で語られるような義侠の人です。
なかなか女性のイメージが浮かびにくい宿ですが、女性だった場合でも反抗心が強い実力者であったことでしょう。

革命軍のリーダーとなり得るのは他に【亢宿】があります。【亢宿】のほうは清廉で潔癖、社会計画を打ち立てて実行しようとする近代的な“革命家”であるのに対し、【胃宿】は古代的。どっしりと深く民の心に根差している、大衆憧れの大親分です。思想家のような未熟さはなく、実力ある大人な反乱者と言えます。

たとえば前世で地方の実力者だったあなたは、始め地位も名誉も受けました。
しかし中央政府は下々の暮らしをないがしろにした愚策を繰り返します。
地元で民の苦しみを見つめているうちにあなたは、中央政府への怒りを抑えることが出来なくなりました。
「乱を起こして欲しい」。地元の民たちの訴え、家臣たちの求めも日増しに強くなっていきます。
ついに地位も名誉も中央に叩き返し、地元の民を率いて反乱を起こしました。
始めから勝利は望めない戦いでした。官軍の強さに反乱軍は散り、あなたも命を失いました。
しかし義理人情に生きたあなたという英雄の生きざまは、時代を越えて人々の心に輝き続けています。

今世の幼少期〜青年期

魂は前世で過ごした人生を今世でも引きずります。
これはボールが転がる様子と似ています。一度加えられたある力の作用は、他の力が加えられない限りそのままボールの転がる軌道に影響を与え続けます。魂も同じで、前世で得た環境や生き方などの作用は今世に伝わります。このため魂は直前の過去世で過ごした人生と、どこかしら共通するものがある場所や性格に生まれるのです。
このような魂の軌道を変えるためには、生きているうちに行動して別の力の作用を加えることがどうしても必要です。死ぬだけで劇的に性格が変化すること、つまり「別人に生まれ変わる」ことは決してありません。

胃宿の子は正義感のある兄貴分・姉御肌でしょう。
普段は穏やかに笑っていて、優しくて親切。年下の面倒見も良く見ます。このため同い年の子からは好かれ、年下からは絶大な支持を受けます。
内面は反抗心が強くて、幼い頃から親や社会に対して何らかの不満を抱えているようです。
ふとした瞬間にその不満を爆発させることがあり、親や教師から見ると少し扱いづらいと感じるかもしれません。
時に不満から来る怒りが暴走して相手を選ばずぶつけてしまうことがあります。そんな時は周囲から孤立してしまいます。

ルールを守ることや集団行動が苦手なことは幼い頃から自覚あると思います。
ですから公務員などお堅い仕事や、年功序列のサラリーマンなどには不向きと言えます。
やはり実業家、政治家が適職なのでしょう。
早いうちに手に職を持って独立を目指す進路を考えたほうが成功への近道のようです。
また意外にも繊細で鋭い感性を持っているため、文筆家やコメンテーターでも成功している人はいます。有名な文豪にも多い宿です。

「智愚の相違甚だしく異なる」とのことで、権謀術数に長けた知恵者となるか、とんでもなく愚かな人となるか二つに分かれると言われています。あるいは「賢く見えて愚なること多し」とありますから、もしかしたら実力はあるけれども学業は苦手な場合が多いかもしれません。
簡単に人に心を許さず、本音を喋ることは滅多にないため秘密めいた雰囲気を持っています。
そこがまた大物らしさを醸し出す要因となっています。
内面には人知れず激しい葛藤を抱えていることが多いようです。そのため精神的な病に罹ってしまう人も実際います。
「激情型」と言われているように、日頃から蓄積された怒りを不意に爆発させることがあります。理の通った上への反抗心なら良いのですが、自分でも訳が分からず周りが理解に苦しむような怒りをぶつけてしまえば人々は離れていってしまいます。
粗暴で冷酷な面もあるようです。怒りが暴力的な形(精神的な暴力も含む)で相手に向かわないよう注意してください。


今世をどう生きるべきか

来世のあなたの宿はまだ定まっていません。
今世の生き方によって来世も再び今と同じ宿になるか、それとも全く別の宿になるかが決まります。
来世を選ぶのは今世のあなた自身です。

胃宿の人は怒りが暴発してしまわないように、不満を溜め込み過ぎないよう日頃から気を付けるべきでしょう。
ぜひ本音を話せる親友を一人くらいは得るようにしてください。
友がいなければ、家族。生涯の伴侶には何でも話せるようにしたほうが良いです。
また、あまり理想的な自分を描き過ぎないように。
大黒柱であり、期待の星である自分というものを理想としているかもしれませんが、そこまで完璧ではなくとも良いのです。弱い自分をパートナーに見せて頼ることも必要です。

胃宿の人が自分でも理解不能な葛藤を抱えているのは、もしかしたら前世で戦った体制に対して未だに戦おうとしているからなのかもしれません。
“生まれ変わり”というものはやっかいで、前世で経験したことの具体的な記憶は失うが、感情だけは残ってしまうのです。
だから次の人生において、自分でも訳が分からない怒りや恐怖に翻弄される。
人間というものは悲しくも目に見えている範囲のことしか理解出来ないので、どうしても見えているものだけで自分の感情に説明をつけたがります。それで、とりあえず身近な対象で怒りの理由をこじつけてしまう。たとえば、「親がムカつくことをしたからだ」とか「この社会にムカついているんだ」などと。
実はそれがたいてい見当違いだったりします。
あなたは今は無い幻に怒っているのかもしれません。
だとするとあなたはもう、怒る必要など本当にはないのです。見当違いの対象に不満を抱き続ければ空回りするだけです。

どうか今世では怒りを鎮め、友を信じて本音を語らい、心穏やかに生きてください。

原典引用

『此の宿に生まれし人、心胆剛にして、酒に耽り肉を嗜み、劫奪強暴を作す者あり。軽躁にして怨讐多し。男女に恵まれ、僕従多し。運は四時共盛衰なく他の養いを受けず、知恵の相違甚だしく異なる。賢く見えて愚なる事多し。能く人に就いて推知すべし。』

出典「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶時日善悪宿曜経」
秘伝 密教宿曜占星術 (エルブックスシリーズ)より再引用




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占い

【胃宿】

<いしゅく>
和名:こきえ

前世の人物像
「義侠心溢れる反乱軍の頭領」




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